イノベーションテクノロジー

INNOVATION TECHNOLOGY

超臨界水

超臨界水の紹介

超臨界流体応用技術

グリーンプロセスの趨勢に伴い、超臨界流体の応用技術もますます重要視されてきています。ASIA GIANTも、特殊金属装置製造の技術力を活かし、1999年にはITRIと共同で台湾初の超臨界水酸化装置を完成させ、様々な工程のニーズに応える設備の提供すると共に、装置のサプライヤーとしての枠に留まらず、技術サービスの提供を目指し、長年にわたって様々な超臨界流体の応用技術の開発に力を注いでいます。

超臨界流体とは

固体・液体・気体は私たちが一般的によく知る3つの状態です。水を例にとると、常圧下(1気圧)で水を0℃以下に冷却すると、「液体」から「固体」の状態(これを”氷”と呼びます)へと変化します。また、水を100℃以上に加熱すると、水は「液体」から「気体」の状態(これを”水蒸気”と呼びます)へと変化します。(図1参照)しかし科学者によって、水を220気圧以上に加熱し、温度が374℃を超えると、水の物理的特性(密度、拡散係数、表面張力等)が野かの3つの状態とは明らかに異なることが発見されました。では、この状態をどのように表現すれば良いでしょうか?

この時の水の温度と圧力は臨界条件(Tc=374℃、Pc=22.1MPa)を超えたため、科学者はこれを「超臨界流体」と呼ぶことにしました。超臨界流体は近年、下表に示すような液体と気体の間の特性を持つことから、業界で重要視されています。このため、超臨界二酸化炭素を抽出や洗浄のための従来の溶媒の代わりに使用する場合や、廃水分解やナノ粉体の水熱合成を均質な環境(homogen-ous)下で実施する場合でも、その多くの利点からグリーンプロセスの次世代技術と考えられています。

一般的な超臨界流体の臨界点

物質名 PC/ 臨界圧力 (MPa) TC/ 臨界温度 (℃)
CO2/二氧化碳
7.37
31.1
MeOH / 甲醇
8.09
239
H2O/水
22.1
374
Characteristic/物性 Liquid Supercritical fluid Vapor
Density / 密度 g/cm³
1
0.1~1
10-3
Viscosity / 黏度 Pa‧S
10-3
10-4~10-5
10-5
Diffusion / 擴散係數 cm²/s
10-5
10-3
10-1
Surface tension / 表面張力 dyne/cm
20~50
0
0
Solubility / 溶解度 M/cm³
10-3
10-5
10-8
Reacting temp. / 反應溫度 ℃
28~80
40~250
>250

様々な分野で使われる超臨界流体技術

業界別 用途種類
食品業
フレーバー抽出、農薬除去、アルコールの共沸蒸留(赤ワイン中のアルコール除去)、食品の成形・造粒
特殊化学品工業
分離、精製、リサイクル
バイオテクノロジー/製薬産業
抽出、分離、精製、光学分割、造粒、コーティング
石油化学工業
分離、精製、脱瀝、燃料残渣重金属除去と再生、石炭液化、バイオマスエネルギー、廃水処理
エネルギー産業
バイオマスエネルギー(繊維加水分解、バイオディーゼル燃料製造)、放射性物質含有有機液体廃棄物処理
高分子産業
発泡、リサイクル、注入、染色、精製、重合、洗浄、微粉化
半導体産業
洗浄、コーティング

臨界水酸化技術の利点

Advantage of SCWO

  • 水、有機物、酸素または酸化剤は完全に一相に溶解しているため、二相反応を避ける事ができる。
  • 有機物の酸化速度が早く、反応時間が短いため、断熱操作が容易で、完全な廃熱回収が可能です。

  • 酸化温度が焼却よりも低く、無機塩は不溶性であるためNOxが発生しません。

  • 有機物の完全酸化で、廃ガスの二次処理は必要ありません。

超臨界水酸化技術

超臨界水酸化-高効率廃水処理技術

廃水に含まれる汚染物質の種類や処理コストの違いから、全ての廃水処理に適した単一の処理技術は存在しません。ASIA GIANTは、物理的な廃水処理技術(膜ろ過、吸着)に加え、生物学的に毒性を持つ高濃度有機廃水に対して、従来の焼却や湿式酸化よりも効果的で省エネな選択肢も提供しています。

超臨界水酸化技術(Supercrutical Water Oxidation) は10年以上前から実用化されており、廃水の酸化分解は主に水よりも高い臨界温度(374.2 ℃)と臨界圧力(22.1 MPa)で行われます。超臨界状態では、廃水と酸素または転化の酸化剤が均一になるため、酸化能力が向上し、汚染物質を速やかに酸化させることができます。湿式酸化と比較すると、水中の溶存酸素不足により酸化が不完全で、気体廃棄物中にVOCが含まれ、焼却における濃縮や脱水の前処理によるエネルギー消費が高く、高温でNOxを生成する湿式酸化と比較すると、SCWO法は更に優れた技術的な選択肢を提供することができます。

各熱処理技術の比較

温度範囲 (℃) 圧力範囲(BAR)(℃) 相挙動 滞留時間 (MIN)
湿式酸化法
150-300
10-200
固+液+気
(3 相)
10-100
超臨界水酸化法
450-550
250-350
超臨界
(1 相)
0.1-1
焼却
800-1100
気圧
固+液+気
(3 相)
0.01

超臨界水酸化の応用例

項目 応用例
有機物質
殺虫剤 / 薬品 / 溶剤 / 染料
高エネルギー物質
爆薬 / 火薬 / 推進剤
汚染土壌
鉱物油 / ハロカーボン
下水処理場向け活性汚泥
生活 / 産業
廃水
繊維及び製紙工場廃水 / 皮革工場廃水 / 切削油
プラスチック&添加物
ハロゲン含有プラスチック / 難燃剤 / 可塑剤

超臨界水酸化システムフロー

超臨界環境下でのバイオディーゼル燃料調製

近年、地球温暖化問題への関心の高まりや、化石燃料価格の過去最高記録の更新を繰り返す中、代替エネルギーの開発が再び各国のエネルギー政策の重要な鍵の一つとなっています。台湾は東南アジアにほど近いため、ASIA GIANTは原料入手の利便性を考慮すると同時に、国内の廃棄食用油の処理問題を解決したいと考え、お客様にサステナブルなバイオディーゼル燃料のプロセスや装置製造サービスを提供しています。現在、年間100トンの生産能力を有し、地域利用(自社で生産・使用)に加え、産業の生産全般に対応した総合的な技術サービスも提供しています。

バイオディーゼル燃料は、主に脂肪酸メチルエステルで、従来の製法では水酸化ナトリウムによる油脂とアルコールのアルカリ触媒反応の副産物として多量の石鹸が含まれるため、バイオディーゼル燃料から石鹸を取り除くための大量の水が必要となり、「製造過程で大量の廃水が発生する」という本末転倒な問題が発生しました。

超臨界環境下で行われる油脂とアルコールのエステル化反応は、均質(homogenous) であり、アルカリ触媒反応を必要としないため、石鹸は生成されず、反応速度も早いため、同じ生産規模の設備でも、従来の過程よりスペースが小さくて済み、お客様の工場建設の投資コストを抑えることができます。

超臨界環境下でバイオディーゼル燃料を精製する利点

項目 エステル交換法 超臨界メタノール法
反応時間
1~6h
4-50min
反応条件
0.1~1MPa
35MPa,350C
触媒
酸またはアルカリ
無し
変換速度
97%
>98.5%
生成物から除去すべき不純物
メタノール、触媒、ケン化物
メタノール
グリセリン副産物のリサイクル
不純物が多く取り扱いが困難
簡単
反応過程
複雑
簡単
原材料の条件
精製油脂のみ
ソーダ油滓、または廃棄食用油
両方に適している

超臨界メタノール法でバイオディーゼル燃料を精製するシステムフロー